北欧デザインの食器の中でも、今なお根強い人気を誇るヴィンテージシリーズが、フィンランドの名窯アラビア(ARABIA)のルスカ(Ruska)です。
温もりのある釉薬と無骨ながらも繊細なフォルム、そして日常使いにも耐える高い耐久性を兼ね備えたルスカは、日本のヴィンテージファンや北欧インテリア好きからも長年愛されています。
本記事では、アラビアの名作「ルスカ」について、誕生の背景やデザインの特徴、シリーズ展開、そして希少な「ルスカブルー」まで、たっぷりとご紹介します。
ルスカとは──自然を映し出す北欧ヴィンテージの名作

ルスカ(Ruska)とはフィンランド語で“紅葉”や“秋の色づき”を意味する言葉。その名のとおり、深みのある赤茶色や焦げ茶の釉薬が印象的で、ひとつひとつ異なる表情を見せるのが特徴です。まるで秋の森の中を思わせるような温かみのある色調は、食卓に落ち着きと自然の風合いを添えてくれます。
このルスカが発表されたのは、1960年代初頭。大量生産品が普及する一方で、日常の中にこだわりのあるデザインを取り入れたいという動きが強まっていた時代です。フィンランド国内のみならず、ドイツやアメリカ、日本など海外でも販売され、大きな人気を博しました。
デザイナーはウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)
ルスカシリーズを手掛けたのは、アラビアの代表的な女性デザイナー、ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)です。彼女は1921年にフィンランドで生まれ、アラビアのデザイン部門に長く在籍し、多くの実用性と美しさを兼ね備えた作品を世に送り出しました。
彼女のデザイン哲学は、「美しさは実用の中にある」というもので、装飾過多にならず、使いやすさ・耐久性・美的要素のバランスがとれたデザインが特徴です。ルスカもその例にもれず、電子レンジやオーブンにも対応できる高耐熱性を持ち、家庭用として非常に実用的なシリーズとなっています。
ルスカの販売期間と製造の終焉

ルスカは1960年に誕生してから、1999年まで約40年近く生産され続けたロングセラーシリーズです。これほど長く愛され続けたのは、ひとえにそのシンプルでありながら飽きのこないデザイン性、そして生活に馴染む機能性にあります。アラビア社の製造体制の変化や市場のニーズの移り変わりにより、1999年には生産が終了。以後、ルスカは「ヴィンテージ食器」として市場に出回るのみとなりました。そのため現在では、コンディションの良いルスカを見つけるのが年々難しくなってきています。特に、ルスカのロゴは、消えやすいという特徴があります。
北欧食器の中でも高い人気を誇るアラビア(ARABIA)。その中でも「ルスカ(Ruska)」シリーズは、ヴィンテージ好きにとって憧れのアイテムです。温かみのある茶色の釉薬が特徴のルスカは、使いやすく、長年愛され続けてきました。[…]
ルスカの魅力──唯一無二の釉薬と風合い

ルスカの最大の魅力は、やはり独特の釉薬とその表情にあります。この釉薬はリアクティブ・グレーズ(反応釉)と呼ばれ、焼成時の温度や釉薬の厚み、窯の環境によって微妙に色合いや模様が変化します。
そのため、同じアイテムであっても、ひとつひとつに個性があるのです。表面にはマットでざらついた手触りを持つものもあれば、ツヤのあるグラデーションがかかったものも存在します。この一品もの的な魅力が、コレクターたちを魅了してやまない理由のひとつです。
また、厚みのあるストーンウェア素材で作られているため、割れにくく、日常使いにも適しています。現代の暮らしにもすんなりと溶け込み、和食や家庭料理との相性も抜群です。
ルスカのシリーズラインアップ
ルスカシリーズは、プレートやカップだけではありません。以下のように、幅広いラインアップが存在しており、セットで揃えることで統一感のあるテーブルコーディネートが可能になります。
- コーヒーカップ&ソーサー
- ティーカップ
- ディナープレート
- サラダプレート
- スープボウル
- ベーキングディッシュ
- ティーポット
- クリーマー
- シュガーボウル
などの展開があります。特に人気が高いのは、コーヒーカップやティーカップ。取っ手の形や容量、フォルムのバリエーションも存在しており、集める楽しみも広がります。また、プレート類は和洋問わずどんな料理にも合う汎用性があり、日常の中で長く使い続けられる逸品です。
知る人ぞ知るルスカブルー、イエロールスカ──希少な青いルスカ
一般的に知られているルスカは茶系の釉薬がほとんどですが、極めて希少なカラーバリエーションとしてルスカブルー(Ruska Blue)と呼ばれる青色のモデルも存在します。
このブルータイプは、限定生産や特定のマーケット向けに流通したものとされており、現存数が非常に少ないため、市場ではプレミア価格で取引されることもしばしばです。青といっても鮮やかなものではなく、深みのある藍色や群青に近い色合いで、通常のルスカと同様に釉薬の個体差が楽しめます。
また、イエロールスカ(Ruska Yellow)と呼ばれる黄色みが買った茶色のカラーバリエーションもレアなシリーズになっています。
ブルールスカやイエロールスカは見かける機会はごく稀で、ヴィンテージショップやオークションなどで運良く出会えた際には、まさに“掘り出し物”。コレクターズアイテムとしての価値も非常に高い一品です。
ルスカは使うほどに愛着が増す北欧の名品
アラビアのルスカは、その美しい釉薬、確かな品質、そしてウラ・プロコッペによるタイムレスなデザインによって、今もなお多くの人に愛され続けています。
一見シンプルながらも奥深く、料理を引き立て、暮らしを豊かにしてくれるヴィンテージ食器。それがルスカです。フィンランド生まれの食器ですが、洋食だけではなく和食にも良く合うデザインとして人気があります。ルスカをまだ使ったことがない方は、ぜひ一度手に取ってみてください。きっと、その手触りや色合いの美しさに驚き、使うほどにその魅力に惹かれていくはずです。

